場面1:構想・テーマ選定で出てくる用語(6語)

用語意味現場での注意点
1. 機械学習データから規則やパターンを学習する手法の総称AIと呼ばれる製品の多くはこれ。ルールを人が書く方式とは別物
2. ディープラーニング(深層学習)多層のニューラルネットを使う機械学習画像・音・文章に強い。データと計算資源が多く要る
3. 生成AI文章・画像・コードなどを生成するAI文書検索や手順書作成に強く、数値の予測や合否判定は従来型のAIの領域
4. PoC(概念実証)本番前に、小さな範囲で効果と実現性を確かめる取り組み技術検証ではなく、本番判断の材料集め。合格ラインを事前に決める
5. ROI(投資対効果)投資額に対してどれだけの効果が出るか効果は不良・停止・工数を金額に換算し、運用費と横展開費も含める
6. ユースケースAIを適用する具体的な業務と目的「外観検査」ではなく「最終検査の流出不良を減らす」まで具体化する

用語の違いの詳細はAI・機械学習・ディープラーニングの違いと生成AIと予測AIの違いで扱っています。

場面2:データの準備で出てくる用語(7語)

用語意味現場での注意点
7. 学習データモデルを作るために使うデータ量より、ロット・季節・品種のばらつきを代表しているかが大事
8. 評価データ(テストデータ)学習に使わず、精度の確認だけに使うデータ学習データと混ざると精度が実力以上に見える
9. アノテーション(ラベル付け)データに正解(良否、不良の種類など)を付ける作業判断基準が人で揺れると精度が下がる。限度見本でそろえる
10. 教師あり学習正解ラベル付きのデータで学習する方式不良の種類分けや需要予測など。ラベル付けのコストが課題
11. 教師なし学習正解ラベルなしでデータの構造を学ぶ方式異常検知やクラスタリング。結果の解釈に人の知識が要る
12. 良品学習良品データだけで学習し、良品から外れたものを異常とする方式不良が少ない立ち上げ期に向く。正常のばらつきを含めないと過検出が増える
13. データ拡張画像の回転・明るさ変更などで学習データを水増しする手法現実にない変化を加えると逆効果。実際の撮像条件の変化を模す

場面3:モデルと精度の議論で出てくる用語(7語)

用語意味現場での注意点
14. モデル学習の結果できあがった、入力から出力を計算する仕組み版を管理し、どの版で判定したかを記録する
15. 推論学習済みモデルで新しいデータを判定・予測すること推論の速度がタクトに間に合うかを確認する
16. 閾値異常度や確信度がいくつ以上なら異常とするかの境目閾値で見逃しと過検出の量が入れ替わる
17. 見逃し(偽陰性)不良を良品と判定すること流出クレームに直結。通常は最優先で抑える
18. 過検出(偽陽性)良品を不良と判定すること再検査工数と歩留まりロスになる
19. AUROC閾値を動かしたときの判定性能を1つの数でまとめた指標閾値に依存しないため、実運用の見逃し率は分からない
20. 過学習学習データに合わせすぎて、新しいデータで精度が落ちることPoCの精度が高すぎるときは疑う

精度の指標は精度指標の読み方、閾値の決め方は閾値のトレードオフで詳しく扱っています。

場面4:本番と運用で出てくる用語(6語)

用語意味現場での注意点
21. ドリフトデータの傾向や、入力と正解の関係が時間とともに変わること材料ロット・季節・設備改造で起きる。精度劣化の主因
22. 再学習新しいデータでモデルを学習し直すこと誰が、いつ、どのデータで行うかを導入前に決める
23. MLOpsモデルの開発・配布・監視・再学習を継続的に回す仕組み工場ではモデルの版をロットのトレーサビリティに記録する
24. 並行運用(シャドー運用)人の判定とAIの判定を同時に回して差を確認する期間本番切り替え前に必ず置く。差分が閾値見直しの材料になる
25. Human-in-the-loopAIの出力を人が確認・承認する工程を組み込む設計設備の設定変更や重要な判定では承認を挟む
26. 横展開1ラインで成功したAIを他ライン・他工場に広げること撮像条件・センサー位置・マスタを揃えないとコストが膨らむ

場面5:データ基盤とインフラで出てくる用語(4語)

用語意味現場での注意点
27. エッジAI設備の近くの機器で推論すること遅延・帯域・可用性・機密性の理由で選ぶ。多数の機器の管理が課題
28. MES(製造実行システム)作業指示・ロット・実績・品質を管理する工場のシステムAIの学習ラベルの供給元であり、判定結果を工程に戻す出口になる
29. OPC UA設備データを型・単位つきでやり取りする産業用の標準規格業界別の情報モデル(コンパニオン仕様)で設備をまたいで扱える
30. RAG(検索拡張生成)社内文書を検索してから生成AIが回答する方式古い版の文書を参照すると誤答する。文書の版管理が要る
構想、データ準備、モデルと精度、本番運用、データ基盤の5つの場面と、それぞれの用語数を示した流れ図 1 構想PoC・ROI6語 2 データアノテーション7語 3 精度閾値・AUROC7語 4 運用ドリフト・MLOps6語 5 基盤エッジ・MES4語 提案書でどの場面の用語が抜けているかを見ると、見積もりの範囲が分かる
30語が出てくる場面の流れ。検討の段階が進むほど、データと運用の用語が増える。

よくある質問

AIとディープラーニングは同じ意味ですか

違います。AIは最も広い概念で、その中に機械学習があり、機械学習の一手法がディープラーニングです。製造業の現場では、ディープラーニングを使わない機械学習(勾配ブースティングなど)や、統計的な手法も多く使われています。

ドリフトはどのくらいの頻度で起きますか

決まった頻度はありません。材料ロットの切り替え、季節による温湿度の変化、設備の改造や治具交換のたびに起き得ます。精度を継続的に監視し、変化に気づける仕組みを用意しておくことが大切です。

PoCと本番の違いは何ですか

PoCは限られた範囲で効果と実現性を確かめる段階で、本番は業務の中で継続的に使う段階です。本番では、データ連携、業務手順への組み込み、精度監視と再学習、障害時の対応が必要になり、PoCより範囲が大きく広がります。

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この記事を書いた人

株式会社サオス

株式会社サオス 製造DX部

DELMIA Apriso を中核とした MES / 製造DX の導入・運用・人材育成と、製造業向けAIの調査・開発・教育を手がけるITコンサルティング企業。ISO 9001:2015 / ISO 27001:2022 認証取得。 日本・中国・米国で製造業のMES・データ基盤・AI導入を手がけた実務者が、欧米・中国の一次情報にあたって書いています。