2024年の設置は54.2万台、稼働は466万台
国際ロボット連盟(IFR)は毎年秋に「World Robotics」を公表し、世界の産業用ロボットの設置台数と稼働台数を集計しています。2025年9月25日の発表によると、2024年の実績は次のとおりです。
前年の発表と並べると、変化が見えます。
| 指標 | 2023年(World Robotics 2024) | 2024年(2025年9月発表) | 変化 |
|---|---|---|---|
| 世界の新規設置 | 54万1,302台 | 54万2,000台 | ほぼ横ばい |
| 世界の稼働台数 | 428万1,585台(+10%) | 466万4,000台(+9%) | 稼働は増加が続く |
| 中国の新規設置 | 27万6,288台(世界の約51%) | 29万5,000台(約54%) | 台数・比率とも上昇 |
| 日本の新規設置 | 4万6,106台(-9%) | 4万4,500台(-4%) | 2年続けて減少 |
| 日本の稼働台数 | ― | 45万500台 | ― |
出典:IFR(2024年9月24日、2025年9月25日発表)。2024年の値はIFRの発表どおり千台単位で丸めた数字です。
世界の新規設置は2年続けて54万台前後でほぼ横ばいでしたが、稼働台数は毎年1割近く増えています。設置されたロボットが長く使われるため、稼働台数は設置が横ばいでも積み上がっていきます。IFRは2025年の発表のタイトルで、工場でのロボット需要が10年で倍増したとしています。
中国が新規設置の過半を占める
2024年、中国の新規設置は29万5,000台で、世界の約54%を占めました。中国の稼働台数は200万台を超え、世界の稼働台数466万台の4割以上にあたります(編集部による計算)。2023年の約51%から比率がさらに上がっています。
中国の工場でロボットの導入が進む背景には、設備更新の政策や、スマート工場の認定制度など、政策による後押しがあります。中国の工業AIの動向は中国の人型ロボット政策や、世界の動向をまとめた世界の製造業AI動向のセクションで扱っています。
日本は2年続けて設置が減少
日本の新規設置は2023年に4万6,106台(前年比9%減)、2024年に4万4,500台(同4%減)と、2年続けて減りました。一方、稼働台数は45万500台で、世界の約1割にあたります(編集部による計算)。
設置が減っている理由は、IFRの公表値だけからは特定できません。自動化がすでに進んでいて新規需要が一巡した、設備投資の時期がずれている、といった複数の要因が考えられますが、これは推測です。日本の産業用ロボット市場を詳しく見るには、日本ロボット工業会など国内の統計と合わせて確認する必要があります。
フィジカルAIの議論でどう使うか
産業用ロボットの市場データは、フィジカルAIやヒューマノイドの将来予測を読むときの基準になります。2024年の世界の新規設置54万台に対し、2025年のヒューマノイドの世界出荷は約1.3万〜1.45万台と、調査会社によって差はあるものの、産業用ロボットの数%の規模です。予測の違いはヒューマノイド市場予測の食い違いで整理しています。
IFRは2025年8月のポジションペーパーで、ヒューマノイドを既存のロボットを置き換えるものではなく補完する存在と位置づけました。466万台の稼働台数は、フィジカルAIの主戦場が当面、既存の産業用ロボットにAIを足す形になるという見方の根拠の一つです。
よくある質問
IFRの数字は毎年いつ公表されますか
例年9月ごろに、前年の実績をWorld Roboticsとして公表しています。2025年9月の発表は2024年の実績です。記事やレポートで引用されている数字が、どの年の実績かを確認してください。
協働ロボットはこの数字に含まれますか
IFRの産業用ロボットの集計には協働ロボットも含まれます。協働ロボットだけの台数や比率は、IFRの詳細レポートで確認してください。
中国の比率はなぜここまで高いのですか
世界最大の製造業の集積があることに加え、政策による設備更新とスマート工場化の後押し、国内ロボットメーカーの価格競争力などが重なっていると考えられます。要因ごとの寄与はIFRの公表値からは分かりません。
この記事に出てくる用語
中国の「AI+製造」を追う
工業大模型、政策と補助金、日系工場への影響。日本語圏に届いていない一次情報 全75本
- 中国「人工智能+」行動意見とは:2027年に智能体普及70%超が製造業に意味すること
- 中国「AI+製造」専項行動(2026年1月)全解説:7分野21措置と2027年目標
- 中国データ越境規定(16号令)と日系工場:製造データを日本へ送れるか
- 中国「AI+製造」が日系企業に与える影響:競争・調達・規制の3つの視点
